ネクイハムシ食草図鑑

ネクイハムシの幼虫や成虫がたべる水辺の植物を紹介します

ヒルムシロ科 Potamogetonaceae

●ヒルムシロ属 Potamogeton

イネネクイハムシの成虫はヒルムシロ類の浮葉を食べ,葉裏に産卵もする.写真はフトヒルムシロ.

日本産ネクイハムシでは,イネネクイハムシ以外の食害例は知られていない.ただし,沈水性の種にはキイロネクイハムシの食草があるかもしれない.

イネ科 Poaceae

●マコモ Zizania latifolia

イネネクイハムシの食草として知られているが,私は食害例を観察したことはない.同じイネ科のイネもイネネクイハムシの食草として有名.

ミクリ科 Sparganiaceae

●ミクリ属 Sparganium

キンイロネクイハムシ,ホソネクイハムシ,キアシネクイハムシ,アシボソネクイハムシの食草として知られている.いずれのネクイハムシも主として葉の表面をかじる.

写真はヤマトミクリ.ミクリ類の多くは生育地の減少が指摘されている.

ガマ科 Typhaceae

●ガマ属 Typha

キアシネクイハムシ,ホソネクイハムシの食草として知られている.

写真はガマ.日本各地でふつうにみられるが,ネクイハムシがついていることは少ない.

カヤツリグサ科 Cyperaceae

●ウキヤガラ Bolboschoenus fulviatilis

フトネクイハムシの食草として知られている.キヌツヤミズクサハムシ(スゲハムシ)が訪花する.

●フトイ Schoenoplectus validus

フトネクイハムシとアカガネネクイハムシの食草として知られている.

フトイはある程度水深のある水域に生えることが多く,近づきにくい.

●スゲ属 Carex spp.

ミズクサハムシ属,フトネクイハムシ亜属のほとんどの種がスゲ類に依存している.成虫は訪花して蜜や花粉を食べるものと,葉を食べるものがいる.前者にはヒラタネクイハムシ,後者にはクロガネネクイハムシが代表的な種である.

このグループは似たものが多く,同定は素人にはなかなか難しい.花粉を大量に吸い込むと花粉症になることもある.

スイレン科 Nymphaeaceae

●ジュンサイ Brasenia schreberi

ガガブタネクイハムシ(ネクイハムシ)の食草として知られている.

ジュンサイは食用となる水草としても有名.

●オニバス Euryale felox

従来オニバスはネクイハムシの食草としてはノーマークだったが,ガガブタネクイハムシ(ネクイハムシ)の食草であることが報告された(藤本,2003,へりぐろno.24).

●ヒツジグサ Nymphaea tetragona

ガガブタネクイハムシ(ネクイハムシ)の食草として知られている.

●コウホネ Nuphar japonicum

コウホネネクイハムシの食草として知られている.コウホネネクイハムシはオゼコウホネも食べる.

●オグラコウホネ Nuphar oguraense

セラネクイハムシの食草として知られている.

ハス科 Nelumbonaceae

●ハス Nelumbo nucifera

イネネクイハムシの食草として知られている.成虫は浮葉上でよくみられる.関東ではレンコンの害虫として知られている.

地域によっては,ハスがあってもイネネクイハムシがまったくみられないこともある.

ヒシ科 Trapaceae

●ヒシ Trapa japonica

イネネクイハムシの食草として知られている.新潟県ではヒシがあればかなりの確率でイネネクイハムシをみつけられたが,他地域ではそうでもないようだ.

ミツガシワ科 Menyanthaceae

●ミツガシワ Menuanthes trifoliata

キヌツヤミズクサハムシ(スゲハムシ)が訪花する.

●ガガブタ Nymphoides indica

イネネクイハムシの食草として知られている.同じアサザ属のアサザもイネネクイハムシの食草である.

「ガガブタネクイハムシ」がガガブタを食べるかどうか疑わしい.もし,食べるとしてもきわまてまれなケースであると思われる.

(作成日:2005.10.5;修正日2005.10.12)

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