日本産コガムシ属には,コガムシHydrochara affinisとエゾコガムシHydrochara liberaの2種がいる.いずれも中国地方に分布するが,島根県ではコガムシのみが確認されている. コガムシは不安定な水域を好み,水田や休耕田,河川敷の水たまりに生息し,ため池など恒常的な水域でみつかることは少ない. 卵(卵嚢)は独特の形状をしており,水面に浮いている.ガムシの卵嚢に比べるとだいぶ小さく,突起もやや太短い. |
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ガムシ1齢幼虫. 70%アルコール液浸標本のため,腹部が縮んでいる.腹部側面や尾端の肉質の突起があり,軟毛が生えている.大顎は左右対象. スケール1mm. |
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ガムシ3齢幼虫. 20mmほどの大きさになる.大顎や腹部の突起の構造は1齢幼虫と変わらない.大きくなると頭部と前胸の赤味が強くなる. スケール1mm. |
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メスは水草や枯れ葉を利用して水面に浮く卵嚢を作る.中に多数の卵があり,幼虫はほぼ一斉に孵化する. |