ヒラタガムシ属は種数の多いグループで,小型種では学名未決定の種もいる.島根県ではキイロヒラタガムシEnochrus simulansとキベリヒラタガムシEnochrus japonicusの2種が記録されている.今後,島根県で確認される可能性のある種としては,マルヒラタガムシEnochrus subsignatus,チビヒラタガムシEnochrus esuriens,オオヒラタガムシEnochrus haroldi,ヒラタガムシ属の一種Enochrus bicolorなどがいる. キイロヒラタガムシは平野部を中心に水田や休耕田に非常に多く生息している.一方,キベリヒラタガムシは山間の落ち葉の溜まった日陰のため池に多く,キイロヒラタガムシと一緒にみつかることは少ない. 幼虫はスジヒラタガムシ属によく似ているが,大顎の歯で区別できる:ヒラタガムシ属は左右不対象;スジヒラタガムシ属は左右対称. |
![]() |
キイロヒラタガムシ3齢幼虫. 大顎は左右不対称. 腹部の側面には目立った突起はない.腹脚があり,イモムシのように歩く.顕微鏡で観察すると,腹脚には爪状の突起がある. スケール1mm. |
![]() |
キベリヒラタガムシ幼虫. 2齢幼虫と思われる. 基本的な構造はキイロヒラタガムシと同じ.頭部が濃い茶色をしており,オレンジ色のキイロヒラタガムシとは異なる. スケール1mm. |
![]() |
キイロヒラタガムシの成虫. 水田でよくみられ,幼虫も一緒に見つかることが多い. |