ホンシュウチビマルヒゲナガハナノミ

Macroeubria similis Lee, Yang et Sat0, 1997

Macroeubria similis Lee, Yang et Sato, 1997(原記載)
Macroeubria similis:吉富・佐藤(2003),Jach et al. (2006)

基準産地.Tsukude, Aichi Pref.

形態的特徴.
 成虫の体長は2.4-3.4 mm(Lee et al., 1997).チビマルヒゲナガハナノミにきわめてよく似ており,識別には雄交尾器の検討が必要である.
 蛹は幼虫の殻に覆われない.背面側に盛り上がり,腹面側はやや平坦.腹部側面に細長い突起があり,小さく分岐する.表面には不規則な形状の毛が密生しているほか,背面にはやや長い毛の生えた2列がある.刺激を受けると,腹部を左右に動かす.
 幼虫は縦長の楕円形.尾突起は鋭く後方へ伸びる.中胸,後胸,腹部背板第1-7節の側方板はかぎ爪状に後方へ曲がり,先端は尖る.腹部背板第8節の側方板は後方へ伸び,先端は丸い.背面に2本の隆起条がある.本種の幼虫は林(2007)によって初めて報告され,背面の隆起条の数によって他の日本産チビマルヒゲナガハナノミ属の幼虫と区別できることが判明した.
 卵は未確認.

生態.島根県での観察では,成虫は7月から8月上旬に出現し,湿地や水田の周りの植物上にみられる(図43).また,灯火にも飛来する.幼虫は湿地に生息し,落ち葉の表面に付着していることが多い(図44).蛹は,飼育条件では落ち葉などの隙間にもぐって蛹化した.ヒラタドロムシ科は一般に流水生であり,湿地の泥中という生息環境はきわめて特異である.

分布.本州,九州.成虫はチビマルヒゲナガハナノミと区別が難しいため,湿地や池で採集された標本は本種の可能性が高く,検討が必要である.

成虫(オス)

成虫(メス)

幼虫


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