セマルヒラタドロムシ属の一種 Homoeogenus sp.

 石垣島産のヒラタドロムシ科幼虫を検討したところ,これまでに国内で記録されていないセマルヒラタドロムシ属の一種が含まれていることが判明した.成虫との対応関係は未確認である.幼虫は,尾端の形状がチビヒゲナガハナノミ属によく似ているために混同されてしまう可能性が高い.
 幼虫の形態は非円形で隣接する腹部背板の側片はそれぞれ分離している.全体にやや細長い逆卵形.胸部の中央には直線状の縫合線がある.胸部と腹部の側片は細く,下方へ緩く曲がり,先端は尖る.尾突起は長方形で,先端は切断状.表面には顆粒列がない.縫合線があること,側片が細く先端が尖っていることでチビヒゲナガハナノミ属とは容易に区別できる.
 セマルヒラタドロムシ属の幼虫形態は,Lee and Yang (1993)によりHomoeogenus laurae Lee et Yangの幼虫が報告されている.石垣島産の本属幼虫は,H. lauraeの幼虫に体型や斑紋がほぼ一致し,台湾に近いという地理的な条件(ヒラタドロムシ科では台湾と八重山の共通種が3種いる)からみて,同種である可能性が高い.今後,雄成虫の交尾器を確認することにより確定させたい.
検討標本.幼虫14頭を検討した.

幼虫


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