ヒゲナガヒラタドロムシ Nipponeubria yoshitomii Lee et M. Sato, 1996

Nipponeubria yoshitomii Lee et M. Sato, 1996(原記載)
Nipponeubria yoshitomii:吉富・佐藤(2003),Jach et al. (2006)

基準産地.Aichi Pref. Mennoki Pass, Inabu-cho.

形態的特徴.
 成虫の体長は2.3-2.8 mm(Lee and Sato, 1996).触角のほとんどの節,頭部,前胸背板,小盾板が黒色で,上翅は濃い茶褐色.雄の触角は鋸歯状で長く,体長より僅かに短い程度.大きさと体型はチビヒゲナガハナノミ属に似ているが,触角の長さや体色が異なる.
 蛹は幼虫の殻に覆われない.背面側が盛り上がり,腹面側は平坦.腹部各節の側面に細長い突起がある.表面には不規則な形状の毛が密生しているほか,背面には毛の生えた2列がある.刺激を受けると,腹部を左右に動かす.
 幼虫は非円形で隣接する腹部背板の側片はそれぞれ分離している.全体にやや細長い楕円形.胸部の側片は幅があり,先端は下方へ曲がり,先端は尖る.腹部の側片は胸部側片より細く,下方へ緩く曲がる.尾突起は幅広く内側へ強く曲がり,先端は尖っている.色彩は変異があるが,中・後胸背板と腹部背板第3・4節の中央寄りに一対の明色斑,腹部背板第1・2,5・6節の外縁寄りに一対の明色斑があるほか,胸部から腹部の背面側に一対の黒点がそれぞれの節に認められる.本種の幼虫は,Lee and Sato (1996)によって初めて報告された.
 卵は未確認.

生態.山地の沢沿いなどで一年中水が浸みだしている場所やその周辺に生息する.成虫は6月に出現し,雄は地表付近の倒木や枝の上で静止しているが,好天時には地表近くを良く飛ぶ.幼虫は湿った地表にある濡れた落ち葉の表面や石の裏に付着している.蛹化は幼虫の生息場所で行われ,一例のみではあるが石の下に付着している蛹を確認している.飼育条件でも落ち葉に付着した状態で蛹化した.

分布.本州.本種の生息環境は特殊であるため野外で確認が難しいが,四国や九州でも発見できる可能性が高い.

備考.本種は最新の環境省レッドリストにおいて,情報不足(DD)とされている(環境省,2007).

成虫(オス)

成虫(メス)

幼虫


ヒラタドロムシ図鑑トップへ戻る