オオシママルヒラタドロムシ Eubrianax amamiensis M. Sato, 1965

Eubrianax manakikuse amamiensis M. Sato, 1965(原記載)
Eubrianax manakikuse amamiensis: Sato (1976), 佐藤(1985b)
Eubrianax amamiensis: Lee et al. (2001), 吉富・佐藤(2003),Jach et al. (2006)

基準産地.Is. Amami-Oshima.

亜種.キムラマルヒラタドロムシ E. amamiensis kimurai Lee, Yang et M. Sato, 2001がOkinawaを基準産地として記載されている.

形態的特徴.
 成虫の体長は3.2-5.0 mm(Lee et al., 2001).前胸背板は中央部が黒色で,側方の広い部分が赤色を帯び,やや幅が広く透けている.上翅は全体に黒色.肢は濃褐色.雄の触角は櫛ヒゲ状で(第1,2節は短く分岐しない),第3節から5節は各節の基部(根本)で分岐する.
 蛹は未確認.
 幼虫の前胸背板中央部の縫合線は中央で途切れ,菱形の板を欠く.斑紋には変異があるが,側片は無着色(半透明)の部分が目立つ.側片表面はなめらかで顆粒を欠く.刺板の先端には針状の毛があり,その両側には鶏冠状の突起がある.本種の幼虫は,Lee et al. (2001)によって初めて報告された.
 卵は未確認.

生態.成虫は奄美大島では6月,沖縄島では3月〜6月に記録がある.奄美大島では,主に上流部に生息しており,成虫は幼虫が生息する沢沿いのスイープで得られた.幼虫は流水中のほか,滝の壁面にも生息しており,知名瀬川の上流ではヒメヒゲナガハナノミ属の幼虫と一緒に生息している.

分布.奄美大島,徳之島,沖縄島,多良間島(?).このうち亜種のキムラマルヒラタドロムシは沖縄島と多良間島に分布する(Lee et al., 2001).多良間島産の標本はこの亜種のパラタイプにも指定されているが,川のない平坦なこの島にヒラタドロムシ科が生息するというのは疑問が残る.

備考.オオシママルヒラタドロムシの学名はE. amamiensisだが,アマミマルヒラタドロムシの学名はE. nobuoiであり,注意が必要.

成虫(オス)

成虫(メス)

幼虫


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