ホシザキ野生生物研究所では、島根県に生息する水生昆虫の研究を行っています。このたび、水生昆虫のDNA分析を行った研究成果と希少種のゲンゴロウ類の幼虫に関する研究について、共同研究の結果が報告されましたので、ご紹介します。
いずれもオンラインの国際学術誌Zookeysに掲載され、誰でも読むことができるオープンアクセスとなっています。
1．絶滅危惧種を多く含む水生甲虫・水生カメムシで環境DNA分析に必要な参照DNA配列を網羅的に整備
中濱直之 (兵庫県立大学自然・環境研究所准教授 兼 兵庫県立人と自然の博物館主任研究員)らの研究チームに加わり、絶滅危惧種を多く含む水生甲虫・水生カメムシの参照 DNA 配列を網羅的に調べました。この分析にあたって、ホシザキ野生生物研究所で収集したサンプルを証拠標本として利用し、種の同定や分析結果の妥当性の検討などを担当しました。 成果は、今後、環境DNA分析に活用されることが期待されます。 詳細は、兵庫県立大学のリリースをご覧ください。
URL：https://www.u-hyogo.ac.jp/20251021press.pdf
[論文情報]
論文タイトル：
Mitochondrial DNA 16S region and voucher specimen collection of Japanese aquatic Coleoptera and Hemiptera for environmental DNA metabarcoding analyses
タイトル和訳:
環境 DNA メタバーコーディング分析に向けた日本産水生甲虫及びカメムシのミトコンドリア DNA の 16SrRNA 領域配列と証拠標本のコレクション
著者：
Naoyuki Nakahama, Kei Hirasawa, Masaya Kato, Kohei Watanabe, Seikan Kurata, Masakazu Hayashi 中濱直之 (兵庫県立大学自然・環境研究所准教授 兼 兵庫県立人と自然の博物館主任研究員)、平澤桂 (アクアマリンいなわしろカワセミ水族館副館長)、加藤雅也 (大阪公立大学大学院農学研究科緑地環境科学専攻大学院生)、渡部晃平 (石川県ふれあい昆虫館学芸員)、倉田正観 (北海道大学北方生物圏フィールド科学センター助教) 、林成多 (ホシザキ野生生物研究所所長)
掲載誌：Zookeys 巻・号: 1253 巻 P.103－119.
論文ダウンロードページ： https://doi.org/10.3897/zookeys.1253.146226
2．希少種クロゲンゴロウの幼虫形態を詳細に記載
石川県ふれあい昆虫館の渡部晃平学芸員との共同研究により、絶滅危惧種のクロゲンゴロウの幼虫を1〜3齢まで詳細に観察し、記載しました。ホシザキ野生生物研究所の電子顕微鏡観察を活用し、体の表面の立体的な構造を観察しました。
詳細は、石川県ふれあい昆虫館のリリースをご覧ください。
URL：https://www.furekon.jp/report23/
[論文情報]
論文タイトル：
Description of the larva of Cybister (Melanectes) brevis Aubé, 1838 (Coleoptera, Dytiscidae, Cybistrinae)
掲載誌：ZooKeys
巻・号: 1257 巻 P.137－151.
著者：Kohei Watanabe渡部晃平（石川県ふれあい昆虫館），Masakazu Hayashi（林 成多）
論文ダウンロードページ：https://doi.org/10.3897/zookeys.1257.168982 |
